黒岩さんこぼれ話

9月に建築をかんがえるシリーズで講演いただいた、黒岩さんと弊社との仕事についてご紹介いたします。

黒岩さんとの最初の仕事は、六甲山のアートイベントでの橋の設計でした。

 

イベントサイトに指定されていた場所の中で、気になった、六甲山の山の上の二股の松の木。

まわりは緩く傾斜した芝生広場で、家族連れがレジャーシートをひいて、バドミントンをやったりフリスビーをやったり、寝転がったりお弁当を食べたりしている場所でした。

この松の木に橋をかけることを提案しました。

コンペ応募時は、考えをよりシンプルに表現するために、30cm□の丸太をアーチ状に積み上げた橋を提案していました。

しかし、実際このようにつくろうとすると、材料代や加工手間がおどろく程かかってしまいます。

支給された制作費を踏まえ、より少ない材料でシンプルにつくる方法は無いか、黒岩さんに相談しました。

黒岩さんからは、15cm□で6mの湾曲集成材とすれば、比較的手に入りやすく、少ない材料でできるとご提案いただきました。

段板はツーバイ材で、段板とアーチ状の15cm□の湾曲集成材をつなぐ金物は一つずつ手づくりしてもらうことにしました。

地中梁のような役目を果たすものとして、工事用の鉄板をレンタルし、鉄板の重みでアーチ状の湾曲集成材が広がらないようにしました。両端の階段下の土の部分に、工事用の鉄板が埋まっています。

設計の方針が決まったところで、現地で施工してくれる工務店をいろいろ探したところ、加古川市にある昭和住宅さんが手を挙げてくださいました。

見ず知らずの仙台の個人設計事務所からの依頼を快く引き受けてくださり、本当に感謝です。

担当の福本さんもアートが好きとのことで、とても楽しんで現場に取り組んでくださいました。

加古川の加工場まで足を運び、現場に搬入する前の湾曲集成材を見せていただきました。

WORKSにも載せているこの写真↑。踏み板のところはタッカーで縫い目模様をつけています。また、手摺は、塩ビパイプタコ糸巻き仕上です。職人のおじいさんたちがかなり苦戦しており、タコ糸巻きは小川も精魂込めて一緒に制作しました。

福本さん(左から2人目)と施工に関わってくださった職人さんです。

登ってみると結構高さがあり、少しドキドキする大きさです。

六甲山の山の上ということもあり、一日の中でも、風景がどんどん変化していく神秘的な場所でした。

子どもたちにも大人気。みんな何度も登っていました。

丁度、建築学会が神戸大学で開催された年で、アルバイトの学生や大学教員をやっている友人、同じく設計を生業とする友人など福岡から仙台まで、たくさんの友人も見に来てくれました。

黒岩さんもご家族連れで来てくださいました。

3ヶ月だけの展示だったので、イベント終了後、泣く泣く撤去しました。

 

作品審査では、兵庫宅建ハトマーク賞をいただきました!

こちらのアートイベントは、スタッフの方がとても献身的に場づくりをしてくださり、アーティストへの対応も素晴らしく、また、他の参加アーティストさんもエネルギッシュな方ばかりで身に余る経験をさせていただきました。

たくさんの方にご協力いただいた中での受賞は、ほっとするところもあり、大変嬉しく思いました。

後に開催された木材活用コンクールでも、こちらの橋は部門賞をいただきました。

 

樹木の通り抜け

House A「層をなす下屋の台所」

↑黒岩さんに設計していただいた、農家の改修です。

建築をかんがえるシリーズ VOL.4  熊本と構造設計からみえてくる新しい建築のかたち

↑昨年の黒岩さんレクチャー記事です。