建築をかんがえるシリーズでご講演いただいた、山越健造さん、内山隆弘さんとは、それぞれ「レインガーデン」についてお話する機会がありましたので、ここに紹介いたします。
「レインガーデン」は、海外wikiには掲載されているのですが、日本ではまだ認知度が低いかもしれません。
https://en.wikipedia.org/wiki/Rain_garden
普段は水がない窪地であったり砂利で覆われていることも多いです。
集中豪雨の際、まわりへ雨が溢れ出さないように窪地に雨水を一時的に貯め、ゆっくりと地下へ浸透させる役割があります。
ちなみに青葉山には、小川が東北大学にいた時に設計した『青葉山レインガーデン』もあります。時間と体力ありましたらぜひご覧ください。
このレインガーデンは、単純にdryとwetの境界をつくることを試みています。
竣工時は石と水だけの風景だったのが、竣工直後からハチが巣をつくったり、アメンボがいたりカエルの卵があったりで、生態系が形成されていきました。このプロジェクトに参加された中野和典先生から、dryとwetの境界域に最も生物多様性が見られると伺っていたのですが、確かに今は葦が生い茂る生物にとって良好なエリアとなっています。他にも土木の学生さんが放った金魚や何やら植林したマツなどもあり、キャンパスの学生の関わりと自然が溶け合って放置された、ある意味青葉山の東北大らしいなんとも味のある風景になっています^ ^。
ちなみに…、このレインガーデンにある石ですが、小川と当時の職場の上司の小野一隆さんとで、一つ一つ石の大きさを確認しながら選り分けて設置しています…。勾配の上流側と下流側とで微妙に石の大きさを変えているそうです…。
↓こちらのグッドデザイン賞のサイトに『青葉山レインガーデン』の詳細を載せております。こちらも合わせてご覧ください。
https://www.g-mark.org/award/describe/39394
↓計画段階でSDレビューに出展する機会もいただきました。震災直後で構造系の研究室の実験場を間借りしながら、学生と一生懸命模型をつくりました。
http://www.kajima-publishing.co.jp/sd2016archive/since/kako2011.html
↓その後、研究室でSendai OASISとしてロッテルダムビエンナーレに出展し、その年のWinnerになりました。欧米・アジア各地の参加者の中から選ばれ、震災後ということもあり、とても嬉しかった記憶があります。
Sendai OASISは、仙台市内に1000個の「雨庭」をつくるというアイディアでした。
下の画像はその時の小川のスケッチの一部です。
小さな雨の庭が仙台中でそれぞれの音を奏でている様子が、なんとも言えないおかしみを醸し出しています。
その後、南ドイツ新聞の記者の方と話す機会があり、ジェイン・ジェイコブズのようだというコメントをいただきました。
ジェイン・ジェイコブズによると、魅力的な都市とはコントロールされるものではなく、 多様性を受容しながら人間的な活気と賑わいのある状態をつくり出す場所だと考えられています。
こんな風に、庭であれ建築であれ、歩く行為であれ、それぞれの小さな営みが響き合う環境をつくりだすことを探求していきたいと思います。
(錦織真也)